一太郎文書からEPUB形式の電子書籍を作成する場合、一太郎の機能を余すところなく利用すると、表示する端末・環境での見た目が一太郎と大きく異なってしまいます。そのため、一太郎上で文書を作成するときに、以下の点に留意します。
それぞれの場合に応じて確認します。
I 固定レイアウト型の場合
- 適切な表紙を用意します。
電子書籍を表示するほとんどの端末・環境では、表紙一覧を表示することができます。内容にふさわしい表紙ページを作成しましょう。
- 印刷されない機能は出力されないため、利用しないようにします。
例えば、付箋、注釈行、注釈などです。
- 「用紙」は小さめのものを使用し、文字サイズはなるべく大きめにします。
固定レイアウトでは、用紙1枚分を1画像(1画面)として出力します。このため、スマートフォンなど画面が小さい環境に配慮する場合は、なるべく小さめの用紙を選択します。
なお、一部の表示環境では、画像が大きすぎるとページを表示できない場合があります。
II リフロー型の場合
- 適切な表紙を用意します。
電子書籍を表示するほとんどの端末・環境では、表紙一覧を表示することができます。内容にふさわしい表紙ページを作成しましょう。
- 適切な段落に、目次行やランクの指定をします。
- 適切な段落に目次行の指定をすると、電子書籍を表示する端末・環境の目次ジャンプ機能などに反映されます。
- 数十ページ以上の電子書籍を作成するときは、各章の先頭の段落に目次レベル1またはランクレベル1の指定をしておきます。章ごとに本文ファイルが分割されるため、表示する端末・環境に一度に読み込む容量を抑えることができます。
- フォントは、端末・環境によって、表示が大きく異なる場合があります。
- 電子書籍内のフォントの指定を反映しない端末・環境があります。
- 電子書籍内で使用しているフォントが閲覧する端末・環境に存在しない場合は、代替のフォントが使用されます。
- スマートフォンで利用できるフォントは、パソコンとは大きく異なります。例えば、個条書きの行頭記号の一部には、パソコンでは一般的なSymbol系のフォント(Wingdings)が使用されていますが、スマートフォンでは別の文字として見える可能性があります。
- Symbol系のフォントを縦書き中に使用している場合は、横向きに表示されます。
- 連綿体フォントを使用した場合、かな文字がつながって表示されるかされないかは、ビューアーによって異なります。
- 画像枠・オブジェクト枠・部品・簡易作図は少なめにします。
- 枠どうしの距離は、行方向・列方向ともにできるだけ離します。枠が隣にある場合は、端末の画面サイズによって見え方が大きく異なってきます。例えば行内で隣り合っている場合、枠の順番が入れ替わって見えたりします。
写真・イラストなどは、挿絵として使う程度にとどめます。
- 画像枠に対する説明は、枠上で右クリックして表示されるメニューで[枠の説明文]を選択して設定します。
- 枠と文字の位置関係を固定したい場合は、枠の基準を「文字」または「行」にし、枠を左または右に寄せます。
- 枠はあまり大きくならないようにします。
大きな枠や画像は、端末によっては、予想よりも小さくなったりつぶれたりします。
- 部品・簡易作図などと一太郎の本文の文字とが重ならないようにします。
一太郎の本文の文字と、部品・簡易作図などとの重なりの関係は解除され、別々に出力されます。
- 枠どうしの距離は、行方向・列方向ともにできるだけ離します。枠が隣にある場合は、端末の画面サイズによって見え方が大きく異なってきます。例えば行内で隣り合っている場合、枠の順番が入れ替わって見えたりします。
- 1ページに複数の画像枠やオブジェクト枠は作成しないようにします。
近くの行に複数の枠がある場合は、枠の左右の位置関係は保証されません。
- レイアウト枠は画像として出力されますが、枠内の文字データも出力するかしないかを保存時に指定できます。
- 罫線は表以外の形式にしないようにします。
例えば、縦に分割するための罫線を引いたときも、全体を囲む表として出力されます。
そのため、電子書籍の「リフロー」の効果が得られにくい場所が生じます。 - 罫線表は長くならないようにします。
表の1行が1画面を超えるような場合、環境によっては画面からあふれた部分を読むことができません。
- 文書中の目次は、更新するかしないかを保存時に選択できます。
更新する場合、ページ番号・リーダー線がない状態で再作成し、該当位置へのリンクが設定されます。
電子書籍としての目次一覧は、目次レベル1〜6が設定された行から別途作成されます。
なお、目次一覧の各段落には、[目次作成]ダイアログボックスで指定した段落スタイルが反映されます。 - 文書中の索引は、更新するかしないかを保存時に選択できます。
更新する場合、ページ番号をアルファベットに置き換え、リーダー線がない状態で再作成し、該当位置へのリンクが設定されます。ページ付け対象は索引語として指定した位置だけになります。
なお、索引一覧の各段落には、[索引オプション]ダイアログボックスで指定した段落スタイルが反映されます。 - 重ね文字は、画像として出力するか中の文字だけを文字データとして出力するかを保存時に指定できます。
- 出力されない情報や領域は、利用しないようにします。
出力されないのは、次の機能を利用した情報や領域です。
- 文字飾り-回転の設定
- 塗りつぶしのパターンの網掛け
- 文書情報フィールド
- 組み文字
普通の文字列として出力されます。
- 割注
普通の文字列として出力されます。
- 差込印刷を利用する機能(差込枠、差込フィールド)
- 文字スタイル・段落スタイル・段落属性の以下の情報
- 字間・ベース位置・ベース位置からのシフト量
- 均等割付・密着割付の設定
- 文書スタイル・ページスタイルの以下の情報
- 字間
- ページ飾り
- 罫線-斜線・括弧
- Word互換罫線枠
1ページ内に収まっている枠は、画像として出力されます。表の罫線は表示されない場合があります。ページをまたがるときは出力されません。
※Wordファイルを読み込んで電子書籍を作成する場合は、「Word互換罫線枠」ではなく「罫線」を使います。
など。
- 漢文入力支援の機能は、字間・ベース位置・ベース位置からのシフト量を組み合わせて実現しています。このため、漢文入力支援の機能で入力した漢文は、きれいには表示されません。
- 次の機能を利用すると、ページ送り(本文ファイルの分割)が発生します。
- ページスタイル
- 目次レベル(レベル1)*1
- ランクレベル(レベル1)*1
*1罫線を含む行に設定されているとき、または、直前の段落に段落属性の「次の段落の先頭行と結合する」機能が設定されているときは、分割されません。
- 次の機能は、読み手の環境によって、表示が大きく異なる場合があります。
- 段組
- 1文書内での縦組み・横組みの混在
- 注釈行*2
- 改ページ、改段*2など。
*2罫線を含む行では常に、注釈行は解除して出力され、改ページ・改段されない状態で出力されます。