無線LANの環境では、一般的な障害として、次のようなことが挙げられます。
事前に設置場所の環境を調査し、電波干渉が起こらないよう、設置場所・利用する周波数帯・チャンネルなどを設定します。電波干渉が起きると、通信速度が遅い、接続できないなどのトラブルにつながります。
I 外部からの電波による影響
無線LANは、電波を利用してデータを送受信するため、周囲の住宅や会社・事務所などの外部から発せられる電 波にも影響されます。このため、事前に、学校外にあるWi-Fiの状況や影響を調査しておきます。 また、利用する周波数帯によって、同じ周波数帯を使う、ほかの無線機器が発する電波の影響も受けます。通信設 計する際には、できるだ影響が少なくなるようにします。
II 利用する周波数帯
無線LANでは、2.4GHz帯と5GHz帯の電波が使われます。利用する周波数帯により、影響する要因などが異なります。
- 2.4GHz帯
無線LAN以外の無線機器でも使われる帯域のため、電波干渉が起きやすくなります。授業中は、同じ帯域を使うほかの無線機器*1を使わないなどの対応が必要になります。
*1電子レンジ、コードレス電話、無線のヘッドフォン、無線のマウス・キーボード、模型飛行機のラジコン、Bluetoothなど。
- 5GHz帯
無線LAN以外で使われることが少ない電波帯域のため、電波干渉は起きにくくなります。ただし、気象レーダーなどが使う帯域と被っています。このため、レーダーの電波に干渉しないよう、無線LANの機器側で電波を感知したらチャンネルを切り替えます。
また、障害物に対する透過性が2.4GHz帯に比べて劣るため、遮蔽物が多い場所では通信が不安定になります。このため、アクセスポイントと生徒機などのタブレットの間には、障害物が入らないようにします。このとき、「人」も障害物になることへの配慮が必要です。タブレットの周りに人が集まっても電波が遮られないように、アクセスポイントを天井に設置するなど、設置場所を工夫するなどの対応を取ります。
III 複数台のアクセスポイントを使う場合
アクセスポイントを複数台設置すると、設置する場所によっては、電波が重なってしまうことがあります。また、遮蔽物が多い場所では、電波が迂回することで、かえって遠くのアクセスポイントへ接続してしまうことがあります。
電波の重なりによる影響がないかや、遠くのアクセスポイントへ接続してしまわないかなどを確認し、適切な対策を取る必要があります。
IV アクセスポイントの設置場所
電波は高い位置から送信されると、より遠くまで届きやすくなります。また、高い場所に設置することで、人を含む遮蔽物による影響を少なくできます。アクセスポイントは、できるだけ高い場所に設置して、電波の反射による影響を考慮します。
V 授業中
安定した通信状態で授業を進めるために、携帯電話/スマートフォンのWi-FiやBluetoothなど、電波干渉を起こす無線機器の電源は切っておきます。また、Windows Updateやウイルス定義ファイルのダウンロードなど、授業で使うソフトウェア以外の通信が発生しないようにします。