Windowsの設定が不適切だったり、環境復元機能とウイルスバスターとのプログラムの相互干渉により、環境復元有効時のWindowsの起動時間が環境復元無効の時と比べて非常に時間がかかる場合があることを確認しています。
この現象は、Windowsの設定やウイルスバスターの設定を変えることにより、改善することがあります。
I 再現の条件
以下の条件が揃うと、Windowsの起動に著しく時間がかかる場合があります。
- パソコンのディスクがSSDではなく、ハードディスクである
- ウイルスバスターが導入されている
II 対策/対処
以下の対応を行うことにより、環境復元有効時におけるWindowsの起動時間の短縮が期待できます。
■操作
【環境復元やウイルスバスターの処理を阻害するWindowsの設定を確認する】
- システムの復元が無効になってなければ無効にする
Windowsの「システムの復元」機能は、環境復元機能とコンフリクトを引き起こし、同時に作動するとWindowsそのものが不安定になります。環境構築の過程において、いろいろなソフトウェアをインストールしている最中に、有効に変わることもあるので、環境復元を有効にする直前に確認します。
- Windows Defenderが無効になっていなければ無効にする
ウイルスバスターはWindows Defenderが無効である前提で動作していますので、もし無効になっていなければ、Windows Defenderを無効にします。詳細は、下記のトレンドマイクロ Q&Aページを参照してください。
→Windows Defender が有効なWindows 10 環境でのパフォーマンス低下の問題について(トレンドマイクロ社)
【Superfetchサービスを有効にして起動処理を学習させておく】
Superfetchは、Windowsの起動やユーザーの操作パターンを学習して、パフォーマンスを向上させる機能です。学習にはデータ領域を必要とすることから、容量の少ないSSDでも環境復元の領域が確保できるように、環境復元の設定を端末に配信するタイミングでSuperfetchを無効にしています。しかし、空き容量に余裕があるディスクでは、環境復元を有効にする前に、Superfetchを有効にしてクライアント機の起動処理を学習させておくと、復元したときの起動時間の短縮が期待できます。
- コントロールパネルで「サービス」を起動し、Superfetchサービスのプロパティでスタートアップの種類を「自動」に変更します。
- クライアント機を5〜10回ほど再起動を繰り返します。このとき徐々に起動が速くなるので起動時間を確認し、不足があれば更に数回再起動を行います。再起動ごとにガイドメニューを開けば、ガイドメニューの起動時間も短くなります。
【ウイルスバスターの設定を変更する】
ハードディスクなど、データの読み書きに機械的な動作が必要な記憶媒体のパソコンでは、環境復元のファイル監視・保持領域への保存とリアルタイムスキャン検索のファイル監視・検索が同時に動くことで、パソコンのレスポンスが悪くなることが確認されています。
ウイルスバスター側の設定を変更することで、パソコンが起動した直後にユーザーが操作するときのレスポンスの改善が期待できます。
- リアルタイム検索の設定を変更する
具体的な操作手順については、ウイルスバスターのマニュアルに従ってください。
- リアルタイム検索設定の「ファイルに対するユーサーのアクティビティ」を「作成中/変更中および取得中のファイル」から「作成/変更中のファイル」に変更します。
- ウイルスバスターで、USBメモリなどのデバイスコントールを追加時にセキュリティチェックが行われる設定をします。
- パソコンがアクセスする共有フォルダーについては、サーバー側でウイルスチェックを行うようにします。
- 環境復元を有効にする直前にウイルスチェックを実施しておきます。これにより、万が一、端末がウイルスに感染しても再起動で感染前の状態に戻ります。
※リアルタイム検索の設定については、検索の対象を「作成/変更中のファイル」にすることによるリスクヘッジ「2.」、「3.」ができるかどうかと、必要とするパフォーマンスのバランスでご判断ください。
■関連情報